Choosing Wisely(医療におけるコストパフォーマンス)
「Choosing Wisely」という言葉をある医学書を読んで知りました。直訳すると「賢く選択すること」となるそうです。
その本の中にさらに以下のように書かれてもいました。
「『提供する医療の量を減らすこと』=『医療の質の低下』、あるいは『提供する医療の量を増やすこと』=『よい医療』と信じている医療者は決して少なくないが、医療の質を下げずに(むしろ上げつつ)医療行為を減らすことは可能であり、逆に医療行為を増やして患者の健康被害を招く例もある」と。このような例としてCTを何回も撮ると、放射線被ばくはどうしても多くなり、すぐにではないけれども後々問題になることもあるというようなことを指すのだと思います。また、身体に負担のかかる検査をして、そのために検査後つらくなるというようなこともあるかもしれません。
「Choosing Wisely」ということについて考えさせられました。
一方世間ではいろいろなところで「コストパフォーマンス」ということを言われます。医療においてはあまりコストパフォーマンスということは言われないのかもしれませんが、忘れてはいけないものだと私は思います。非常に高価なお薬もあり、それがその価格に見合うだけの効果があるかと考えた場合、疑問に思うときもあります。例えばコロナ感染後に飲まれることもある「ゾコーバ」というお薬は、偽薬(プラセボ)に対して72時間以内に飲むと「1日だけ咳や発熱を早く抑える」ということで処方されることがありますが、その薬価は約50,000円で、3割負担としても15000円ぐらいかかります。1日早く症状を抑えるかもしれませんが、一方副作用が出るかもしれません。「それしかない」ということで使用されることもあるでしょうが、ときには「それを使用しない」という選択もあるのかもしれません。
医療におけるコストパフォーマンスが良いということはまさしく「Choosing Wisely」だと思います。いろいろ検査して「何も異常がない」とされて、放置されてしまうようなことも散見されます。「異常がない」というのは実施した検査結果の中だけなのですが。検査の種類が多くなったり、詳しい検査をすればどうしてもたくさんのお金がかかってしまい、その結果をもって改善に結びつけられなければその場合は「コストパーフォーマンスは悪い」となるのでしょう。反対にあまり検査をすることなく原因なりを突き止めて改善に向かうことができれば「コストパーフォーマンスがいい」とされるのだと思います。
漢方薬をお出しする際には血液検査やレントゲン検査の結果によって処方が決定されるわけでも、処方が変わることもありません。処方選択のためにはそういう時代(いろいろと検査するような手段がない時代)に開発されたお薬であるが故、問診や脈診、腹診、舌診ぐらいしかありませんので検査という検査はないので「Choozing Wisely」に結びつくのだと思います。結果「コストパフォーマンスが良い」に結びつくことになります。
このように考えると「Choozing Wisely」と「コストパフォーマンス」は関連のあることだと分りました。