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「今年は花粉症、ましでした」「えっ、花粉症だったんですか」

[2026.05.21]

 「花粉症」といえば、一般的には「スギ花粉症」をさすことが多いと思います。それ以外に、夏や秋にはカモガヤ、ブタクサなどの雑草に対して反応してくしゃみ、鼻水、痒みなどがでる花粉症もあります。当院は大きな川に近く、そこの堤防にそのような植物が生息していることもあり、夏や秋にも花粉症の症状を訴えられて来院される方もあります。

 

 花粉症の治療としては西洋医学的にはアレルギー反応を抑えるとされる「抗アレルギー剤」等が処方されることが多いと思います。これらは鼻水を止めたり、痒みを抑えたりするような効果があります。そのために多くの患者さんが花粉症の時期には服用されています。ときには花粉が飛び出す前の時期から飲んでおられる方もあります。点鼻薬や点眼薬などを併用されることもあります。また舌下免疫療法という新しい治療法を受けられている方もあります。

 

 私も漢方薬のことを知らないときには西洋薬をお出しさせていただいていました。30年前ごろには新しい抗アレルギー薬といわれるものがいくつも新発売される時代でした。その当時私の妻がスギ花粉症が強く、困っていました。妻はもちろんのことですが、私にとっても、妻が花粉症のために倦怠感が強く、また味もわかりにくくなったりして、私の晩御飯のメニューにも影響が出ていました。これは私にとって大問題です。

 

 新しく出た西洋薬をいろいろと飲ませていましたが、どれもあまり効果がなく、眠くなることも多かったです。かえってパフォーマンスが悪くなることもありました。

 

 ちょうどその頃、漢方薬について少しかじり出したころで、「花粉症」には「小青竜湯」という決まり文句みたいな使い方でした。「小青竜湯」は鼻水を止めたり、鼻づまりを軽減したり、ときには痒みを押さえたりもするとされています。また西洋薬と大きく違うところは眠くなることはありません。

 

 妻に飲ませてみました。効きました。眠くなりませんでした。これまでの西洋薬を飲んだ時と違います。「これだ」と思いました。

 

 またちょうどそのころは京都の高雄病院の江部洋一郎先生の外来診察を見学させていただくようになった時期で、その際に江部先生から「花粉症に小青竜湯を処方しているか?」と尋ねられました。私は妻のこともあり「はい処方しています。よく効いていい薬ですね」と答えました。そのとき江部先生は「花粉症だからと言って小青竜湯を出しているようでは、西洋薬の代わりに漢方をお出ししているだけで、漢方薬を使っているのではない。漢方薬は『なぜこの人が花粉に反応するようになったのか』を考えて、元の花粉に反応しないお体に戻すようにお出しするのが、本来の使い方だ」とおっしゃられました。

 

 その当時は何を言われたのかさっぱりわからず、またどうすればよいかチンプンカンプンでした。

 

 時が流れて、江部先生の言われたことが私にも少しわかるようになりました。

 

 最近診療をしていて何人かの患者さんから「今年は花粉症楽でした」と言われることがあります。そのようにおっしゃっていただけた患者さんの中には「花粉症である」ということを私が知らずに、例えば「冷え」や「便秘」「口が渇く」などの現状困っていることを軽減、改善するように漢方薬をお出ししているだけで、花粉症を意識して漢方薬をお出ししていない方もおられるのです。ですから、思わず「花粉症だったんですか」と言ってしまうこともありました。

 

 花粉にあまり反応しないということは、そのときに困っている症状がなくなる、つまり普通の人に近づく、結果花粉に反応しないお体に戻っているということだと考えます。(生まれてすぐに花粉症という赤ちゃんはいないでしょうから、いつの頃からか花粉に反応してしまうお体になったはずです)

 

 このような形が本当の花粉症の治療なんだと思います。もちろん今花粉症に今困っておられる患者さんに対して、対処するということも大切ですが、最終的には今後花粉症に悩まされないお体になっていただけることを目指したいと思います。

 

 1年中、鼻水、鼻づまりに困っておられる「アレルギー性鼻炎」といわれる方もいらっしゃいますが、このような考え方で改善できる可能性がありますので、あきらめないでください。

 

 こんな大事なことをお教えいただけた江部洋一郎先生はもうお亡くなりになりました。天国から「やっとわかったか。少し遅いけど」と言われてしまいそうですが。ありがとうございました。

 

追記(2026.5.23)

 「耳鳴り」についてのご相談もよくあります。考えていろいろなことをさせていただいていますが「耳鳴り」を改善する方向へ進めた方は正直少ないです。私の力が至らず申し訳ありません。が、「耳鳴り無くなったわ」「えっ、耳鳴りしていたんですか」「耳鳴りなんて治らないと思っていたので、話さなかった」という会話をした患者さんがときにおられます。

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