「東洋医学と西洋医学 融合が始動」という新聞記事を読んで
11月29日の日経新聞に上記の標題の記事が掲載されました。シンガポールでの出来事です。シンガポールでは中国の伝統的な医学である「中医学」への関心が若い世代にも広がっており、西洋医学と中医学が協力する取り組みが始まっているそうです。背景として中華系の人たちが多くお住まいであることが関係あるかもしれません。
「中医学」というのは漢方薬や鍼灸などを利用した医学です。それには西洋医学のような診断・検査手段(血液検査やレントゲン撮影など)はありませんが、脈の打ち方を診たり、舌を診たり、お腹を触ったりするような診察・診断方法があります。正確に言いますと紀元前に中国で始まった「中医学」が日本に伝わった後、江戸時代に鎖国していたこともあり、日本独自の「漢方医学」として発展した歴史があり、両者(中医学と漢方医学)には少し違いがあります。私はその中医学と漢方医学の両方、さらには西洋医学も併せて考えるようにしています。
シンガポールでは中医学医師と西洋医学医師に対して医師免許がそれぞれにあります。実は中国や韓国もそうで、日本のように医師免許があれば西洋薬も漢方薬もどちらも処方できるというのは珍しいのです。私はその恩恵にあずかり日々診療しています。
これまでを振り返りますと、中医学、漢方医学の知識、経験があまりなかった時期でも処方させていただいていましたが、実力がなかったために申し訳ないことをしていたと思います。とても奥が深い学問で、漢方薬をお出しするようになって20年以上が経過する現在でもまだまだ学ばなければならないことも多く、日々発見することもあります。
そのような中でシンガポールでは両医学の医師が密に連携して、診断治療にあたるようになってきたそうです。若い世代にでも中医学の利用が増えており、関心も高まっているそうです。そのような中で当院にも中国人の患者さんがときどき来院されるのですが、「最近の中国では西洋医学が主流」とお聞きしたことがあり、本家の中国とシンガポールとは少し異なっているようです。が、中国人の患者さんに対して「中国の昔の人たちはすばらしい医学を見つけられ応用されてきました。そのおかげでこのような治療ができます」と申し上げて漢方薬で治療させていただくことが多く、効果を初めて実感された方もあります。
現在シンガポール政府は国のプロジェクトや補助金の対象に中医学を含める方向に動き出し、オ・イエクン保健相は「単に中医学のサービスを追加するのではなく、両者の強みを生かした真に統合的なケアモデルを構築し、最適な患者ケアを実現することが大事だ」と述べられています。そういうこともあり、日本とは少し異なりますが公的な制度や民間保険でも中医学による治療を適応対象にする動きが広がっているそうです。
いずれにせよ私は「みなさまの健康を回復する、維持することをお手伝いする」ことを目標にしています。お手伝いであり「主役はみなさまである」と考えています。そのみなさまの持っておられる「自然治癒力」を最大限に引き出すことが大事だと思います。
