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「視聴者参加型番組」ならぬ「患者さん参加型診療」

[2024.09.27]

 以前はテレビでクイズ番組など「視聴者参加型番組」がたくさんありました。私はその中でも「クイズ100人に聞きました」というのが大好きでした。調べますと1979年4月2日から1992年9月28日まで放送されていたようです。最近はそのような番組がほとんどなく残念で、番組に自分が参加した感じになり、没頭して考えるというようなことはほとんどありません。年を取っただけかもしれませんが。

 

 私は日頃「視聴者参加型番組」ではなく「患者さん参加型診療」というものを実践できればと思っています。

 

 その例を下記にお示しします。

 

 まず漢方診察の方法に脈診(左右の脈を触る)、腹診(お腹を触る)、舌診(舌を診る)というのがあります。それらを使って「患者さん参加型診療」というのを行います。

 

 脈診では診察させていただいた際に手首の脈が打っているであろう場所をご自身で触っていただき、その状態(強く打っているか、弱く打っているか、脈を感じないかなど)を覚えておいていただきます。その場所を忘れないようにその個所にマジックで点を描きます。

 

 腹診では、お腹の冷たさがどのあたりにあるか、息を吸ったり吐いたりしたときに痛みを感じるかなどを覚えていただきます。

 

 舌診では舌の苔の色や舌の裏の血管の状態を診て覚えていただきます。

 

 そうした後に漢方薬を服用していただき、その直後に患者さんご自身で脈を触っていただく、お腹を触っていただく、舌を診ていただくようにします。漢方薬をお飲みいただいただけで舌の状態がすぐに変わったという経験はありませんが、脈やお腹の状態が瞬時に変わった例は多数経験しており、その変化に患者さんご自身がびっくりされることもしばしばです。もちろん、その直後では変化ない場合でも次回診察時には良くなっていることもあります。

 

 舌に関しては、井穴刺絡を施行した直後に、舌の裏の血管の状態が変わる例は経験します。これは「血お」という状態の改善を示します。、もう一つ「血お」の状態の方は指の爪の付け根付近が盛り上がる、赤くなっている方も多いのですが、この状態が井穴刺絡であっという間に軽減することもあります。

 

 このように状態が変わって正常に近づいているということをみなさまに実感していただけることは、漢方薬を飲んでいただくなどの治療に対するモチベーションになると思っています。

 

 最近では痛いところを触ると筋力が低下する現象(キネシオロジーというのでしょうか)を使って、それに相当する手足のツボに針を打つようなこともしています。そうしますとその途端「筋力の低下がなくなる」のを患者さんに実感していただくとともに、元あった痛みも低下、消失していることもあるのです。これまたその違いを患者さんに実感していただけるので、とてもいい方法だと考えています。

 

 高血圧の方は「血圧が下がっている」ということを血圧測定でわかられるかと思いますが、だからといって症状の変化が特にありませんし、同様に高コレステロール血症の方は採血結果でその変化をお知りになられるわけですが同様に症状の変化は全くありません。

 

 しかし漢方薬はもともと何らかの症状があり、それらを改善させるために処方させていただき、結果症状が軽快、消失されれば良く、その過程においてお体の反応の変化に気付いていいただこうとしています。

 

 上記のように様々な視点で加療前後の違いを患者さんに理解、実感していただき、元気になられていることをともに喜びたいと考えています。これが私の「患者さん参加型診療」です。

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