学校へ行きにくくなっていた男子学生の2例(不登校と五臓六腑の「腎」の関連・重要性)
日頃診療をしていて「あまり接することがないような症状」を訴える、複数の患者さんがほぼ同時期に来院されるということをときどき経験するのですが、このケースもそうでした。
高校2年生と小学校6年生の男子生徒のお話です。
この二人は「しんどくて学校へ行きにくい」という現状を改善させるべき手段として、栄養療法というような治療を受けておられました。ビタミン類をはじめたくさんの項目を血液検査で調べ、不足しているものをサプリのようなもので補うというような手法です。一人の男の子は食べる食品の制限をもされてもいましたが、ほとんど私は知らない世界でした。残念ながら二人はそれらを摂取することで改善は見られないとのことで来院されたのです。
確かに血液検査の結果を見せていただくと、正常値から逸脱している項目がいくつかありました。50種類以上の項目を検査されていたように思います。それを補うべくサプリ等を飲んでいらっしゃったわけです。このことの是非をどうこう言うつもりはありませんが、このお二人にあまり効果がなかったのは事実だと思います。
診察させていただくと、お二人とも漢方医学的に普通ではないポイントがいくつか見つかりました。そのような診察方法は西洋医学では取り入れられていません。異常な点が見つからなければ、東洋医学的にもなかなか手段を見つけられない場合もあり困ります。しかし今回はそれなりに見つけることができましたので、漢方薬投与をはじめとしてさらに手技的な方法を追加して改善を図ることにしました。
このお二人には漢方医学的には五臓六腑でいう「腎」というところが弱いと思われる所見がありました。そのため「腎を元気にする」ことを最優先にし、それができれば快方に向かうのではないかと考え、複数の漢方薬を処方させていただきました。「腎」は年齢とともに衰えてくるように考えられていますが、診療していますと若い世代、ときには小さな子供たちでも弱っていると思われるケースも少なくありません。
その後お二人とも3-4か月経過を診させていただいていますが、お二人とも登校できるようになり、塾などにも行かれているようです。
五臓六腑の「腎」はとても大事な臓腑です。
そして本日、小学6年生の男の子のお母さんから「希望する中学に合格した」というご報告をいただきよかったです。
(初診から3か月弱のことでした。)