心房細動と漢方薬
「心房細動」は不整脈の一種です。「ポックリ病」といわれるようなときは命にかかわる不整脈が原因になっていることが多いです。そのような中で心房細動だけで急に命にかかわるということはありません。しかし、心房細動の方は心臓の中に血栓(血の塊)ができやすく、それが脳へ飛び脳梗塞を引き起こしてしまうこともあり、注意する必要があります。脳梗塞を起こしてしまった場合には命にかかわることもあります。
そのようなこともあり血栓ができにくくするために抗凝固剤といわれる種類のお薬を飲んでいただいたり、アブレーションという手法で心房細動を治そうとすることもあります。その技術は最近ますます進歩して、成功率も上昇しています。
今回ご紹介する方は70歳代の女性です。これまで心房細動にときどきなり(発作性心房細動)、アブレーションを一度受けられました。が、その後もときどき心房細動になり、そのときには抗不整脈剤や抗凝固剤を一時的に飲むように指示されていました。
この方が足の裏の違和感が3年前からあるということで当院を受診されました。それに対して漢方薬を処方し、さらには刺絡療法なども施行し様子を診させていただいていました。2-3か月後には足の裏の違和感がほぼ消失したようで、そのときにふと気づかれたそうです。「最近心房細動になっていない」と。漢方薬を飲まれる前までは、3日に1回ぐらい短時間ながらでも心房細動になる時間帯があったのにです。
漢方薬が直接心房細動を起こしてしまう心臓の異常部位を治したのではないと思っています。心房細動になってしまうスイッチが体のどこかにあって、「そのスイッチが入りにくくなるような状況を漢方薬が作り出す」ということではないのかと考えます。あくまで推測ですが。このように考えると、「この漢方薬が心房細動を起こしにくくする」と決められるものではなく、患者さんそれぞれの不具合のを治すために用いられる漢方の種類は異なることになります。このあたりの考え方が西洋薬とは違います。
足の裏の違和感が無くなって、心房細動にならなければ「それで良し」だと思います。
追記(2025.3.18)
書くのを忘れていました。アルコールと多量飲んだ後には心房細動に短時間なったようです。アルコールはあまりよくないのでしょう。
追記(2025.3.26)
昨日来院された際に、先日アルコールも飲んでいないのに数時間心房細動になったとのことです。ご本人もショックだったそうですが、私もとても残念です。