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「快眠、快食、快便」と「自然治癒力」(その3 快便について)

[2019.03.19]

 よく健康を維持する秘訣として「快眠、快食、快便」があげられます。これはとても的を射ていることだと思います。

 

 そこで今回は、「快眠、快食、快便」のなかで、「快便」についてもう少し詳しく考えてみます。

 

 「快便」とは、「いつもスムーズに便が出て、おなかがすっきりしている」ということです。西洋医学的には「便秘とは3日以上便が出ない」ような状態をいいます。(もっともいろいろな説がありますが)一方、毎日便が出ているにもかかわらず、おなかがすっきりしていない方も多くいらっしゃいます。この方たちは少なくとも便秘ではありません。また私が「便通はどうですか」とお尋ねすると、「めちゃくちゃいいです」とお答えになる方がおられます。このようなケースでもよくよくお尋ねすると、「食べるたびに排便がある」という方も少なからず含まれており、これも普通の便通状態ではない、すなわち「快便」ではないのです。

 

 単純に便が毎日出ない、2-3日に一度出ればよいといいうようなケースを考えてみます。これは「便秘」と診断することは容易ですが、西洋医学ではその際には大きく分けて2種類のお薬のどちらかを服用していただくことになります。その二つとは、便を軟らかくさせてスムーズに腸の中を動かし、排便しやすくするお薬(酸化マグネシウム、マグラックス、マグミットなど)と、腸を無理やり動かして排便させようとするお薬(ヨーデル、プルセニド、ラキソベロン液など)です。(最近ではもう少し違う機序で働くとされる西洋薬も使われるようになりました)これらは古くからありますが、後者は飲み続けると効果が出にくくなり、使用量がどんどん増えることより余り好ましくないとされています。結果、前者のお薬をお飲みいただくことが多く、確かに充分量をお飲みいただくと便は出てくることがほとんどで、「便秘」の状態は解消されます。そうなりますと以前の私は、便が出にくい状態から、便が出る状態に改善していただくことができたので、「役割を果たした」と考えていました。

 

 ところがあるときある人のお言葉で、それはとんでもない間違いであることに気付きました。そのお言葉とは、「便が出るけれど、全く気持ちよくない」というものでした。まさしく「快便」ではないのです。頭をかなづちで殴られたような衝撃でした。そこでどのようにすれば快便になっていただけるかを考えたところ、その答えは「漢方薬をお出しする」ということでした。

 

 前に書きましたように、西洋薬で便秘に対して使うお薬は2種類しかないのに対して、漢方薬では非常にたくさんあり、それらを組み合わせてお出しすることも多く、それを考えると無限とはいいませんが、極めてたくさんの種類のお薬をお出しする可能性があります。裏を返せば、それだけ便秘になってしまう原因がたくさんあるということです。

 

 幼稚園児、小学生、赤ちゃんにも便秘傾向の子がいます。このような場合にはまた違った意味で対応が必要になることを経験します。小さいときにはまだいいのですが、ある程度大きくなって便秘傾向が持続していると、朝トイレからなかなか出て来れない、おなかが痛くて学校へいけないというようなお子さんに出会うことがあります。学校へいくことがすべてではないかもしれませんが、行くことによって得られることも多いかと思います。

 

 うまく排便がコントロールできたときには、たいへん喜んでいただけます。「1週間に1回排便があるだけで不快感を持っていない」といわれていた方でも、毎日便が出て快便になっていただけると、その気持ち良さは忘れられないのか、1日便が出なければ、「便が出なくて困る」と訴えられることもあります。

 

 「快眠、快食、快便」になればそれでけでお元気になっていただける気がします。

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