メニュー

不登校、起立性低血圧(解離性人格障害)と糖質制限食

[2022.02.16]

 この記事は、日本で糖尿病の患者さんを改善に導く手段として「糖質制限食」を提唱されている京都の高雄病院の江部康二先生から教えていただいた情報です。

 

【質問】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

娘が中学生の時に不登校となり、ほぼ寝たきりになりました。重度の起立性低血圧と診断されました。病院など相談できるところは全て相談しましたが、原因も対策も不明でした。

とある小児睡眠障害科の医師にメラトニンを摂取するよう指導を受けたところ、なんとか午前中に起床することはできるようになりましたが、通学までは不可でした。

高校受験が近づいた頃、自発的に糖質制限をし始めたところ、その日から学校に通うようになり、高校にも合格しました。

痩せ体質ですが、1日2,000kcal摂取で、糖質を40グラム以内にしてます。

この結果には驚くばかりです。娘は起立性低血圧と機能性低血糖を持っていて、糖質制限で機能性低血糖が良くなり学校に通えるようになったのでしょうか?

だとすれば、思春期の不登校も糖質制限でかなり学校に行ける子どもが増えるのではないでしょうか?

娘は体調が良くなり、ずっと糖質制限を続けると言ってます。血糖値が安定してるからか、とても朗らかな子になりました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

仰る通り、娘さんは、「起立性低血圧」と「機能性低血糖」がベースにあったものと思われます。

また、メラトニンで睡眠が改善し、何とか午前中に起床できるようになっているので、小児睡眠障害科の先生が仰るように、生まれつきメラトニンの量が少ない体質だったのでしょう。

起立性低血圧の場合、「寝起きの悪さ、朝がつらい、立ちくらみ、頭痛、めまい、ふらつき、失神」などの症状が、メインであり、特に朝の不調が目立ちます。

メラトニンで、朝は何とか起きられるが、学校には行けない、ということは、糖質摂取による血糖値の急上昇と急下降が、強い眠気を誘発していたのでしょう。

従って、娘さんのつらい症状の一番主要な原因は「機能性低血糖」であったと思われます。

 

機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。

易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感などの症状がみられます。

糖質制限食により、機能性低血糖の症状がリアルタイムに改善したのだと考えられます。高校にも合格できて、毎日通学できているとは素晴らしいです。

「娘は体調が良くなりずっと糖質制限を続けると言ってます。血糖値が安定してるからかとても朗らかな子になりました。」

糖質制限以前と以後とこれほどの差があるのですから、糖質制限食に辿り着かれて、本当に良かったです。

ご指摘通り、「朝起きられない、食後の眠気、易疲労感などで学校に行けない」といった症状で悩んでいる中学生や高校生の中には、「機能性低血糖」がベースにある場合があると考えられます。

思春期精神科医師、小児科医、そして、不登校の中高生で悩むご両親などに、是非このことを知って頂きたいと思います。

 

 この記事の内容には驚きましたが、昨今不登校の子供たちが増えているように思います。その子供さんたちが糖質制限食で改善できればすばらしいことと思いますし、糖質制限食を実践することは危険を伴うことではないので一度試されて様子を見れれてはいかがでしょうか。

 

 (追記)解離性人格障害と糖質制限食

 以前、解離性人格障害と診断された方が来院されたことがありました。時々自分とは違う人物像が現れ、そのことはご自身では記憶にないと言われていたと思います。

 

 であるとき、ご家族が「解離する時は血糖が下がっているような気がする」と言われたのです。そこで、リブレという血糖を持続的に測定する道具を使って調べたところ、確かに低血糖になっている時間帯があったのです。(ただしこの期間には解離はありませんでした)

 

 そこで、糖質制限のお話をして実践していただくようにお願いした後来院されていませんので、風の便りでは「お元気にされている」ともお聞きしますが、詳細は不明です。もし、解離性人格障害が改善していたならば、糖質制限はとても有効ということになります。

 

 *「起立性調節障害」という記事も併せてお読みいただければ幸いです。

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME