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私が日常診療を行うときに励まされる名言

[2023.02.03]

 いつの間にか大学を卒業して40年も経ってしまいました。それだけ経過して、いろいろな場面、患者さんにお会いして「人間の体はどうなっているだろう」と不思議に思う考えがますます大きくなってきました。なぜそのようなことが起こるのかわからないことにたくさん遭遇するのです。大学を卒業したころには「それまでに教えられたことがすべてで、それがすべて正しい」と信じていました。

 

 しかし、医学(科学?)が発達したこともあり以前は「正しい」とされていたことが否定されていることもあります。今なお正しいとされていることでも、個人的には「おかしい」と思うことも多々あるというのが現状です。

 

 最近では治療に関して西洋医学界では全く認められていない手法でも、身体を良くする方法はたくさんあるということも知るようになりました。西洋医学ではどうしようもできなかった状態を改善させうることがあるのです。多分まだ私が知らないものも数多くあるのです。

 

 西洋医学では最近「エビデンス」といわれる、いろいろな状況を説明する根拠となることが求められます。東洋医学的、さらには東洋医学的ともいえないような方法のほとんどは「なぜよくなるのか」の説明ができません。しかし現実には良くなられることがあるのです。でもその根拠がわからないのです。エビデンスがないのです。

 

 目の前にいらっしゃる患者さんに対して「良くなっていただきたい」と思う気持ちしかないので、患者さんにほどこさせていただく手段のエビデンスを私は必要とはしていません。もちろんその手段が患者さんの不利益になるとは到底考えられないときにです。エビデンスがある方がいいとは思いますが。

 

 そのようなスタンスで日常診療を行っている私ですが、以前下記のような言葉を見つけました。東大内科学の名誉教授であられ、日本内科学の父ともいわれた沖中重雄先生のお言葉です。

 「書かれた医学は過去のものである。目の前の患者にこそ新しい医学がある。」

 

 このお言葉を知って私には勇気が湧いてきました。「そうなんだ、今私の目の前に起こっていることは事実で、今まで誰も知りえなかったことかもしれないけれど、現時点で誰も正しいことだと証明していただけなくても、新しい医学と考えていいのだ」と。

 

 私が行っている方法が将来解明されればうれしいです。

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