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認知症が治った、いや認知症ではなかった?

[2022.09.16]

 先日から、90歳を超えた女性が通院されています。同居の娘さんが当院へ通院されていることもありお見えになられました。来院理由は「認知症が進んで少々困っているので何とかならないか」ということでした。

 

 来院前は尿失禁も頻回で、「ぼーっと」している時間帯が多く、テレビの前に座っていても見ているよう感じではなかったようです。そのときには、胃薬や血圧、骨粗しょう症などに対するお薬などたくさんお薬を飲まれていました。お薬をお飲みになられていたためかもしれませんが、来院時血圧は132/90ぐらいで高くありませんでした。そのために、ご家族と相談の上、お薬をすべて中止していただくこととしました。一方難聴がひどいとのことでした。

 

 1週間後再来院していだきましたが、血圧は上の血圧が150前後まで上昇しているものの、自覚症状は特にありませんでした。血圧に関しては、年齢を考慮して無投薬でさらに経過を診させていただくとともに、色彩治療といわれる方法や、光を使った治療を合わせて始めさせていただきました。もっともこれらの治療法に対して大きな期待は持っていませんでした。特別身体に対して負担になるようなこともないだろうから「とりあえずやってみよう」という感じでした。

 

 その後定期的に来院いただき2か月ぐらいたった現在では、日常生活で娘さんの家事を自らお手伝いされるようになったり、娘さんと会話が弾み、さらには娘さんをねぎらう言葉をかけられるようにまでなったそうです。また不思議なことに難聴も改善傾向です。そのためか診察のときでも、昔話をして下さったりするようになっています。ひょっとしたら以前はかけられた言葉を理解できないために反応がなく、周りが「難聴がひどい」と誤解していたのではないかと考えたりします。

 

 本当に認知症だったのでしょうか?ひょっとしたら認知症ではなかったのかもしれません。何が功を奏したかはわかりませんが、私にとって一番うれしく感じるのは、この方が「人としての尊厳」を取り戻されたように感じることです。

 

追記(2022.11.12)

 先日ご本人から「白髪がいやだから、染めて欲しい」という訴えが娘さんに対してあったそうで、きれいに髪を染められて来院されました。

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