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食後血糖値を測っていますか?(良いヘモグロビンA1c、悪いヘモグロビンA1c、血糖日内変動)

[2023.04.28]

 私は糖尿病の方に対しての食事療法として糖質制限食をお勧めしています。(強制では決してありません。)

 (糖質制限食とは(糖尿病の食事療法) | 蛭間医院 (hiruma-iin.com) をご参照下さい。)

 

 糖尿病に対する食事療法として世間では「糖質制限食」に対しての認識が広まっているという感じはしますが、以前からの「カロリー制限食」を続けていらっしゃる方にも出会います。「糖質制限食でなければダメ」というわけではありませんが、患者さんが糖質制限食の知識をお持ちになった上で「どのような食事療法をされるのが自分にとって最善なのか」をご判断いただきたき、そのような中でできるだけお手伝いしたいと思っています。

 

 糖質制限食についてお知りになられたくて当院を受診される方もいらっしゃいますし、血糖を自己測定されてその結果をお持ちの方もおられます。それはとても参考になります。その中で毎朝食前の血糖値は毎日のようにお測りになられている一方で、食後血糖や、昼食前、夕食前、就寝前などの違う時間帯の血糖値を全く測定されていない方に出会うこともあります。

 

 これはとてももったいないことで、糖尿病のコントロールを正確には把握できていないことになります。その理由を以下でご説明します。

 

 血糖値はご存じのようにいろいろな物を食べる、飲むことによって変動するものであって、食事内容や量で大きく変動します。そこで知っていただきたい事実があります。基本的には炭水化物(糖質)のみが血糖値を上昇させるのに対して、脂質やたんぱく質は血糖値を上昇させないということです。このことをもし食後血糖値を測定していれば自ずと気づかれることもあったかもしれません。たとえば「塩コショウで味付けしたステーキをお腹いっぱい食べたために、御飯(お米)を食べれなかった」というときに血糖値を測定してみれば、血糖値の上昇がほとんどないことに気付かれるでしょう。逆に時間がなくて「小さな塩むすびを1個だけ食べた」後の血糖値がかなり上昇していることにびっくりされることと思います。

 

 最近では血糖値の上がり下がりの差「日内血糖値変動」が重要視されるようになっています。なぜならば変動が大きいことが「血管へのダメージ、動脈硬化」が強くなるということがわかってきたからです。

 

 では糖尿病は体のどこが障害される病気だとお考えですか。答えは「血管」です。血管は全身にあります。そのために糖尿病の合併症として脳の血管が障害され「脳梗塞」になりやすく、心臓の血管では「狭心症、心筋梗塞」、眼の血管では「糖尿病性網膜症で最悪は失明」、腎臓の血管では「腎不全、最悪の場合には人工透析」、足の血管では「足が冷たくなり最悪は足の切断」というように体の様々なところに大きな問題を起こしやすくなりますが、これらはすべて血管の問題から引き起こされます。

 

 また、糖尿病の状態を推し測る検査検査としてHbA1c(ヘモグロビンA1c)という検査があります。これは日頃の血糖値の変動を反映するものとして考えられています。そのHbA1cの数字にも、良い悪いがあると最近では言われるようになりました。

 

 上図を見ていただきますと、赤い線の血糖値の変化は一般的な食事(カロリー制限食等)をし、食後血糖が上昇するために薬や注射などで血糖値を下げた場合の一例です。それに対して糖質制限食をした場合は、制限の程度によりますが食後血糖値の上昇はあまりなく、お薬を使うこともないので血糖値の急激な低下もなく、青い線で示されたような血糖値の変動になります。

 

 この2種類の曲線から推定されるヘモグロビンA1c値はほぼ同じと思われます。しかし、血糖値の変動には大きな違いがあります。この赤い曲線の結果から出されたヘモグロビンA1cは「悪いヘモグロビンA1c」、青い曲線の方は「良いヘモグロビンA1c」とされます。このように同じヘモグロビンA1cの値でも大きな意味の違いがあるのです。

 

 たとえヘモグロビンA1cが良好な値であったとしても、食後血糖値が高く、またその後の血糖値降下が大きい日内血糖値変動が大きい場合は、決して良好な糖尿病コントロールとは言えず、今後合併症の発症を防げるとは言えないかもしれません。

 

 そのためにもぜひ食後の血糖値をしてみてください。(食後1-2時間でまずはチェックされるのがいいと思います)また、最近ではインスリン注射をされている方にしか健康保険の適応はありませんが、採血することなく2週間絶えず血糖を測ることのできる器具が使えるようになりました。

 

 

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