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PPPD(ふらつき・めまい)

[2024.08.30]

 ある患者さんが「PPPD」と診断されたと言われました。「PPPD」(?)私は全くそのような病名は知りませんでした。

 

 熊本市にある熊谷耳鼻咽喉科医院のホームページから引用させていただくと

 持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)は2017年に提唱された新しい概念のめまいです。急なめまいを発症後、急性期症状は改善したにも関わらず、雲の上を歩いているような状態が、3ヵ月以上にわたってほぼ毎日みられる病気です。一般的に3か月以上症状が持続するめまいを慢性めまいといい、その原因としてPPPDが最も多く、約40%を占めると言われています。耳の病気によるめまい(器質的前庭疾患)やうつ病などの精神疾患とは独立した機能性疾患(臓器には何も異常は無いにもかかわらず自覚症状だけがある病態)と考えられています。

 

 ということです。2017年に提唱されたそうですが、勉強不足が故、聞いたこともありませんでした。一方で、このような訴えをお持ちの患者さんにはたくさん出会っています。上記のように急なめまい発作のあとにふらつきを訴える方もいらっしゃいますが、いつの頃からか「ふらつく」と言われる方もあります。ふらつき、めまいは怖く感じるものだと思います。

 

 耳には三半規管や前庭という部位があって、この部が体のバランスを保つために働いているとされています。ですから、めまい、ふらつきはこれらの部位に問題が起こった結果生じていると西洋医学的には考えられています。また小脳も体のバランスに関係する働きをしていますので、小脳の異常でもふらつき、めまいが起こることもあります。

 

 一方で三半規管、小脳等を調べてもはっきりとした異常が見つからないにもかかわらず、ふらつき感、浮遊感を訴えられる方がいらっしゃいます。こういう方がPPPDと診断されるようです。

 

 このような患者さんが来院された場合にまずさせていただくことがあります。それは、軽く両足を広げて立っていただき、横から軽く押すのです。そうしますとふらつきを訴える患者さんの多くで上半身が揺れる、ときには足を一歩踏み出してしまう方もいらっしゃいます。

 

  それを確認したのち、患者さんの左足の甲に金銀のマジックである形(下記)を描きます。銀色で丸を、 金色でその周りに円を描きます。この方法は歯科医でいらっしゃる西島明氏が考案された方法をアレンジしたものです。マジックで描くだけですから、副作用といわれるようなものはまずないので安心して試すことができます。                                                                                                                                       

 

 

 そうしますと描いた直後から、同じように両足を軽く開いて立っていただき左右から押してみても、ほとんど動かない、わずかに揺れるという風にどしっと落ち着いた感じに変化される方がほとんどです。めまいやふらつきを感じる方の中には「左右のバランスが崩れている方が多いのではないか」という発想のもとで始めた治療法です。

 

 もっともこれだけではうまくいかない場合もありますので、次には向野義人先生が考案されたMテストを追加で施行することもあります。この手法に基づき加療しめまい、ふらつきの改善を図りますが、これまた危険性は全くなく施行することができます。

 

 一方でなぜめまい、ふらつきが起こるのか、その素地になっているかもしれない体質を改善させることができればと考えます。そのためには漢方薬を処方させていただきます。「めまい、ふらつき」があるからこの漢方薬ということにはならず、この方が漢方医学的に診察してどのような異常が見出せるのかを判断し、その異常を改善できるような漢方薬を考えます。人それぞれ異なった異常があるわけですから、前にも書きましたように決まった処方にはなりません。異常と思われる状態を、漢方薬を使用して普通の状態になっていただけると自然に「めまい、ふらつき」がなくなることもあるのではと考えています。普通の人は「めまい、ふらつき」がないわけですから。当然のことながら、決して精神的に問題があるからではありません。

 

 このような治療法がPPPDにはあるのだということをお知りいただけければ幸いです。

 

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