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パーキンソン病(歩行障害)の治療

[2024.10.22]

 50歳台の男性が、数か月前から「足が前に出にくくなり歩きにくい」ということで来院されました。特に左足が前に出にくく感じられていました。そのために頭部CT検査を近くの病院で受けていただきました。結果は「画像上、脳に異常がある可能性あり」ということでした。私にはこれ以上どうしたらよいのかわからないので、神経内科の専門医に診察していただくようにお願いしました。

 

 その結果「パーキンソン病」と診断されました。私には「パーキンソン病」というのはじっとしているときの手の震え(安静時振戦)が特徴的だと思っていましたので驚きでした。この方は震えが全くなかったですし、その他手足の筋肉が硬くなる、こわばる(筋固縮)ような「パーキンソン病」の方に見られやすい所見もありませんでした。

 

 一方で少し専門的になりますが、放射性同位元素を用いた検査(RI検査)で心臓にパーキンソン病特有の異常が診られたことも診断された理由でもあったようです。

 

 パーキンソン病はひどくなると難病に指定される病気ですが、ガンとは違って悪性の病気ではありません。ですからあわてて治療を始める必要がない場合もありますので、患者さんの希望もありすぐには投薬治療は始められませんでした。

 

 しかし歩くスピードが同じ年代の人よりも遅く、不安定さもありましたので何とかならないものか、また私ができることでかえって悪ることがないような手段を考えました。

 

 思いついたのが頭皮に針を打つことと、体のツボに色のついた小さなシールを貼ることでした。(山元勝敏先生ご考案のYNSA法と加島春来先生ご考案の色彩療法を少しアレンジしたものです。)それを1週間ごとに何回かさせていただきました。

 

 その効果をみるために当院の中で決まった距離(約4.3m)を「タンデム歩行」していただき、それにかかる時間を測定することにしました。「タンデム歩行」とは「継ぎ足歩行」とも言われ、片方のつま先にもう一方の足のかかとを付けるようにしてまっすぐ歩く、歩き方です。私もやってみましたがなかなか難しいものです。                                   (「すぐに使える!リハビリのイラスト集」からお借りしました)

 

 第1回目は17秒ちょっとかかりました。それから回を重ねていくうちに10秒を切り、今では8秒台になっています。歩き方を見てもスムーズさがましになっており、歩く姿勢も徐々によくなり不安定さも軽減しています。ちなみに私が歩くと6秒ぐらいでしたので、かなり改善していると思います。

 

 この方は、前にも書きましたようにパーキンソン病の代表的な病状である筋固縮や安静時振戦はなく、歩きにくい(動作が緩慢になる)という訴えだけでしたので、これらの治療法だけで改善傾向ですので投薬することなく経過観察中です。

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