鉄下駄を履いている?(下肢筋力の低下)
「なんとなくだるいです」「疲れやすいです」という訴えで来院される方があります。そのためにいくつかの検査をさせていただいたりすることもありますが大きな異常が見当たらない場合もあります。「なぜこのような訴えになるのだろうか」と考えている中で、そういう方の中に足(下肢)の力が落ちている人がそれなりにいらっしゃることに最近気が付きました。
日常生活を送るために、普通は歩いて、立って生活する時間帯が必ずあると思います。その時には下肢の力が必要なことは誰でもお判りいただけるでしょう。それだけに下肢の力が落ちていると歩く、立ち上がる、階段を上るというような当たり前の行為がしんどくなります。
私が下肢の力を推し量るためにはどのようにするかと申しますと、椅子に座った状態の患者さんの太ももに手を当てて地面に向かって上から手で押さえます。その状態で患者さんに、私の手の力に負けないように太ももの部分を上げるようにしていただきます。普通の方は、足をグイっと上にあげられます。ところがこれが上げにくい、極端に弱っている方では足が地面から離れないような方もいらっしゃいます。このような方は「つまずきやすい」と訴えられることもしばしばです。
このように足の力が弱っていると、上に書きましたように日常生活を送る上にはとても大きな労力を使わざるを得ないと考えます。そうだから冒頭に書きましたように「なんとなくだるいです」「疲れやすいです」という訴えにつななる場合があるのです。
その状態を改善させるためには、宮崎の山元敏勝先生のご考案されたYNSA法により、頭皮に鍼を打たせていただきます。そうしますと瞬時に足の筋力が回復するのか、押さえている私の手を押しのけて足がびゅっとあげられるようになります。(程度の差こそあれ、多くの場合で変わります。)
若い方でもこのような方がおられます。このように筋力が落ちている状態は、昔柔道家などが足を鍛えるために履いていたといわれる「鉄下駄」を履いて日常生活を送られているのと一緒のような状態ではないでしょうか。もしそうなら普通より疲れますし、体もだるくなるでしょう。
なぜ筋力が落ちているのかを解明するのが大切ですが、それが今の私にはわかりません。せめて普段の生活が楽になっていただくために鍼を打って筋力の回復を図ることが今の私にできる最大限のことです。何回か打つことにより筋力が普通にまで回復された方もありますが、定期的に打ち続けなくてはいけない方もおられます。