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ギブスやコルセットでの固定について(「動かさないでください」と言われても)

[2023.07.24]

 私は整形外科医ではありません。ですからギブスやコルセットの必要性についてよくわかっていないかもしれません。それをふまえていただいた上でお読みいただければ幸いです。

 

 骨折や捻挫などを起こした場合に、ギブスをつけたり、コルセットのようなもので固定したりすることはよくあることだと思います。確かに急性期にはそうせざるを得ないかもしれませんが、必要以上に長くされていることはないのでしょうか。

 

 例えば前腕を骨折した方がギブスを巻いていて、ギブスから出ている指がパンパンに腫れている方に出会うことがあります。これは明らかにその部での「気の巡り」や「血の巡り」が悪くなっている状況と考えます。骨折や傷を癒すためには充分な量の「気」や「血」のスムーズな巡りが必要で、それらが少なくなる、悪くなると患部の回復は遅くなるように思います。

 

 一方体はある程度動かし続けることが大切で、動かない状態が長くなると筋力が落ちたり、その部の筋肉が硬くなったりします。もし足を伸ばした状態で全く動かず一晩横になっていたとしたら、体のあちこちが痛くなる方がほとんどです。その一例として、以前は心臓カテーテル検査をした際に、検査後足をひもでベッド柵にくくりつけて動かないようにし(足動かすと出血して大変なことになる可能性があるため)一晩過ごしていただくようなことをしていました。そうしますと患者さんから「検査はたいしてしんどくなかったけど、そのあと足の伸ばしてじっとしていると腰が痛くなってたいへんだった」というお話をよく聞いたものでした。

 

 ギブスを巻き続けるということは、上にかきましたような体の一部が固定され全く動かせない状況が続くわけです。最近ではギブスでも簡単に一時的に外すことができるものもあるようですが・・・。またコルセットのようなもので患部を固定するように指示されている方もおられます。

 

 ただ再び悪化することを恐れるあまり、ギブスやコルセットを装着している期間が長くなりがちなような気がします。しかし、固定をはずした時点で日常生活に支障をきたすようになっているのもつらいです。筋力低下や筋肉の硬化が強ければ元へ戻るためのリハビリ期間が長くなり、日常生活を普通に送れるようになるまで時間を要するようになっているケースに出会います。

 

 この状態から早く回復していただくために当院では一般的なマッサージやストレッチなどはせず(というか、そのような方法を知らないのです)、その代わりに頭に針を打ったり、硬くなった筋肉部分や関節にマジックで数字や線を描いています。そうすることで少しでも早く筋肉の硬直や筋力が回復するようにさせていただいていますが、ギブスやコルセットでの固定期間を短くできればより回復が早いと思われます。

 

 話は少し変わりますが、体のどこかに痛みがある場合「できるだけその部分を動かさないように」と指示されることもあるようです。しかし患者さんによっては「それは無理」といわれる方もあります。なぜならお仕事柄など生活していく上には動かさざるを得ないような方も多いでしょう。そのようなときにはどうすればよいのでしょうか。今後さらに動かしながらでも治っていく方法を追求したいと思います。

 

 最後に60歳代の女性の例をご紹介します。この方は転倒した際に膝を地面に強く打ち付けたそうで「左の膝蓋骨(膝のお皿)の軽微な骨折」と診断されました。そのために取り外しのできるようなコルセット様なもの(写真参照)で1か月ほど基本固定されていました。結果、コルセットを外す許可が出た時期には大腿部の筋肉が硬直し、筋力も低下していたためにスムーズな歩行はできませんでした。そのため日々の生活を普通に送っていただけるように様々なことを施行し、ほぼ日常生活には支障がない程度まで回復されました。

 

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