メニュー

手をガラスで切ってしまい、そこを縫った後のうずくような痛みに対しての刺絡療法

[2024.04.23]

 前日に仕事中ガラスで手の甲を切ってしまい8針縫合された患者さんが来院されました。傷の状態は包帯を巻かれていましたので観察することはしませんでした。ただ、縫合した方の手がズキズキうずくように痛んでいるとのことでした。手の向き、置き所で痛みは少しマシになるようでしたが、かなり辛そうでした。

 

 「うずく」という痛み方は「血お」という東洋医学でいう「血の巡り」が悪くなっていることによると考えられています。その方の舌の裏の血管(舌下静脈)の状態を診せていただきましたが、舌下静脈の怒張は明らかではなくそれを見る限りでは「血お」という状況ではないようです。

 

 しかし痛みが辛そうでしたので何とかして差し上げられればと思い、手の井穴刺絡をしてみました。右手のうずく痛みでしたが、左手から刺絡をしました。そうしますと痛みがそれだけで半分ぐらいになりました。左手は何もキズがないのですが・・・。その後右手も井穴刺絡しました。結果痛みは3/10ぐらいまで軽減し、手の置きどころを探すようなことはなくなりました。

 

 刺絡したことにより痛みが軽減したのは予想通りでしたが、なぜ傷のない反対側の手をまず刺絡しただけである程度痛みが軽減したのでしょうか。右手が弱ると左手にも影響が及び、左手にまで何らかの負担がかかっているのでしょうか。不思議な気がします。身体は右左で別れていると考えていますが、それらは綿密に連絡、関係しあって維持されているのだと思います。

 

 また、舌下静脈の怒張がなかったにもかかわらず(血おの状態とはこれでは判断できず)、刺絡で良くなったということは、外傷という局所の急激な変化だけで、それが身体全体にはあまりまだ影響を及ぼしていない時期だったためかもしれません。それでも刺絡させていただこうと考えた裏には、この方法の安全性が高いからでした。結果うまくいきよかったです。

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME