「ぎっくり胸」ってあるのでしょうか?(突然の胸痛について)
「急に何をしているということもなく、突然胸が痛くなった」と訴えられる方に時々来院されます。胸と言っても前胸部の右であったり左であったり、真ん中であったり場所はさまざまです。西洋医学的には「胸が痛む」というときには「狭心症、心筋梗塞」などの心臓疾患や「気胸、肺炎、ときには肺がん」などの肺の病気が考えられ、それらは胸のレントゲンを撮ったり心電図、血液検査で診断され、急を要する場合もあります。(もちろんそれ以外の病気のこともあります) しかしこれらの病気では、本当に突然という感じで痛むというよりは徐々に痛みが増してくることが多いように思います。
「ぎっくり腰」という病気はご存じの方も多いと思います。「くしゃみをした瞬間に急に腰に痛みが走って動けなくなった」という方もあるようにまさしく突然痛みが生じます。このようなことが胸部で起こることは一般には言われてませんが、このようなこともありうるのではないでしょうか。このような状況を私は「ぎっくり胸」と呼んでいます。もしこれが「ぎっくり腰」と同じような機序で起こるとすれば、レントゲンや心電図、また血液検査などでは異常が見いだされることはないでしょう。でも痛みは強烈で何とかして差し上げなくては日常生活に支障をきたします。
このような「ぎっくり腰」「ぎっくり胸」はなぜ起こるのかは、東洋医学的には「気のめぐり」が突然スムーズに流れなくなったためと考えられています。ですから、その巡りを改善させることができれば痛みは軽減するはずです。ときには「ぎっくり背中」といってもいいような方にも出合います。
今日お会いした患者さんは、Mテスト(福岡の向野先生の考案された手法)に基づき加療したところ痛みはかなり軽減されました。突然起こった痛みは、裏返せば早期に軽減させうることができるのではと考えています。