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「禁煙」は万人がすべきでしょうか?

[2023.01.16]

 当院に通院されている方で「何があっても禁煙しない」とおっしゃる人がいらっしゃいます。内科的には「禁煙されたほうがいいのでは」と考えられますし、眼科でも眼底を診察していただいて、禁煙を強く促されたようですが。その方に対して私は「禁煙したくなければそれでいいです」と申し上げています。これは間違っているでしょうか?

 

 ひと昔前に比べると喫煙者は減少傾向で、喫煙できる場所も少なくなっています。一方タバコを吸うことで、肺気腫などの肺の病気や、心筋梗塞になりやすいこと、肺ガンをはじめとするいくつかのガンになりやすいことが研究で明らかになっています。ですから医療機関を受診された場合には「禁煙するように」という指示を受けられた方もいらっしゃると思います。

 

 しかし、タバコを吸い続けられていてもご長寿の方もいらっしゃいますし、タバコを吸われない方でも若くしてお亡くなりになられた方もいらっしゃるのは事実です。ですから、喫煙がその方に及ぼす影響はいろいろであると考えます。

 

 タバコを吸うことは法律には違反していません。もちろん吸ってはいけない場所で吸うことはよくないですし、周りの人に迷惑をかけるような吸い方をするのは問題です。しかし、許された場所で、ご家族や他人に迷惑をかけずに喫煙することは一種の嗜好として問題ないのではないでしょうか。

 

 ご本人が「喫煙することで何が起こっても受け入れる、たとえ寿命が短くなっても構わない」と心底からお考えの方(最初に書きました当院の患者さんのように)に、今お身体の状態がどうであれ「禁煙するように」と一律に指導することは私にはできません。もちろんいろいろとお話をして、ご本人の本心をお聴きして私が納得できれば「喫煙を続けられること」を見守っていこうと考えています。その後状況が変わったり、ご本人のお考えが変わった場合には改めていろいろとお話ししてその後の方針を決めればいいと思います。

 

 人それぞれ「どのような人生を送りたいか、必ず来る最期をどのように迎えたいか」は違います。当然、私とは異なったお考えの方もおられます。日頃その方ができるだけ快適に日常過ごしていただけるようにお手伝いする気は満々ですが、「禁煙を指示すること」がその方が「より快適に過ごせるようになる」と決めつけてはいけないと思います。私はタバコを吸わないのでタバコを吸った時の快感がどのようなものか知りません。そんなこんなで「タバコを吸ってはダメ」と患者さんに申し上げるのはときには間違いだと考えています。

 

 「禁煙したくてもできない」といわれる方にもときどきいらっしゃいますが、そのような方が緊急入院された場合は自動的に禁煙せざるを得ませんし、国際線の飛行機など長時間乗るときもタバコを吸えません。ですから禁煙するのは「強い意志」があればだれでもできることなのです。

 

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