子供の便秘(浣腸の効果、不登校)
「便秘」とは メディカルノートから引用させていただきますと
「本来出すべき便が十分に出ない、または快適に出ないために腹痛・便が出しづらい(排便困難感)・便が出切らない感覚がある(残便感)といった排便のトラブルが長く続く病気」とされています。
これを読みますと、毎日排便があっても「便秘」といってよい場合もあることになります。まさしく「快便」でなければ「便秘」ともいえると思います。今回は特に子供の便秘についてお話ししたいと思います。
日常診療で、咳や鼻水もないのに38℃程度の発熱があり来院される子供たちがいます。その他の症状として「食欲がない」「元気がない」などという症状を伴うこともあります。
実は「便秘気味」だけで小児の場合は38.5℃ぐらいまでの発熱を認めることもよくあるのです。一方で「便は毎日出ています」ということで、ご両親は便秘気味であるとは全くお考えになられていないこともあります(ごもっともかもしれませんが)。上の定義からすると、お腹がすっきりしていない状態であるならば「便秘」といえるかもしれず、小児では「お腹がすっきりしている」というようなことを自覚していることは少ないので、快便といえる状態であるか判断しにくいです。
このようなケースでは多くの場合浣腸させていただきます。そうしますと大きな便が出てきたり、たくさんの排便を認めることもよくあり、その途端元気もすぐに戻り、「お腹がすいた」ということもあったり、熱も下がることが多いです。「急に夜中に熱が出た」とか「げーげー吐き出した」「お腹が痛いと泣き出した」という場合には、とりあえず浣腸してみるのがいい場合も多いです。そのためにも腐ったりするものではないので市販の「イチジク浣腸」を少しだけ常備しておくといいと思います。イチジク浣腸には10g、20g、30g、40gと4種類の大きさがあり、だいたい体重10㎏の子供で10g、20kgで20gの浣腸を使用するのがいいと思います。
以上のお話は「急性の便秘の状態」のお話で、以下は「慢性的な便秘の子供たち」についてお話してみたいと思います。
定義は上記の通りで、気持ちよく便が出て、お腹はいつもスッキリしていなければ「便秘」ということになります。ご両親からすれば毎日トイレへこもって便をしていれば問題ないとお考えになられて当然かもしれません。ここに落とし穴があります。トイレに長くこもっている(10分以上)、トイレで携帯をいじっている、ときには歌を歌っているようなことがあるなら要注意です。普通は便意を催した状態でトイレへ行けばほどなく排便されるのが普通です。トイレに長く座っている必要などないはずです。
ところが10-15分とトイレに閉じこもっている子供たちに出会います。ときには30分なんていうこともあります。なぜそんなに長く入っているのでしょう。聞きますと「すぐに便が出てこないから」「まだ出る感じがするから」「おなか痛があるから」などという答えが返ってきます。「出る便はどのような状態か」とお聞きしますと硬い便のときもありますが、下痢便であることもあります。硬いと出にくいというのはわかるような気がしますが、下痢便でもすぐに出ないということもあるようです。
この便秘の状態を放置するのはよくないと思っています。便秘気味で、食が細い子供たちもいますが、何よりこのような子供たちは積極性に欠けるようなことが多いのが気がかりです。(私の思い込みかもしれませんが) おなかがすっきりせず朝トイレに長くこもらなければならず、そのため学校に遅刻しがちになり、さらには不登校になってしまう例もあるようです。便秘気味が前面に出ていますが、便秘気味になるような体質、体調が不登校になってしまうような本質の身体の状態があるのだと思います。
この本質を改善させていただけることがあれば、うまくすべてが回転しだし、さまざまな症状が軽減、消失していく可能性があります。そして不登校でなくなればと思います。学校で勉強することがすべてではないですが、一人では生きづらく、何らかの形で社会と接点をもって生きていくほうがいいのではないでしょうか。その練習としての学校生活は大事だと思います。
便通の問題を放置することにより不登校にはなって欲しくはないのです。(不登校の原因が便秘だけではないことはもちろんですが)