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「あきらめないで良かった」

[2022.12.20]

 約2年前に、40歳ぐらいの女性から電話で問い合わせがありました。蚊の鳴くような声で「耳鳴りがひどいのですが、何とかなりますか」という問い合わせでした。その後来院されました。

 

 初めての来院の1年前に突発性難聴と診断され、難聴、耳鳴り、耳の詰まった感が出現したものの改善されたようでした。ところが1か月前より耳鳴り、耳閉感が再び増強し「たいへんつらい」とのことでした。

 

 そのため漢方薬を処方するとともに、YNSA(宮崎の山元敏勝先生ご考案の頭皮に鍼を打つ方法)を定期的(最初の頃は月に2-3回、最近では月に1回程度)に施行することにしました。そうしますと、幸いなことにゆっくりながら耳鳴りは小さくなり改善傾向となりました。

 

 最初の来院から1年半ぐらいたったときに、頭に鍼を打っている際に患者さんが小さな声で「あきらめなくてよかった」とつぶやかれました。この言葉は私にとってたいへんうれしいものでした。もっとも耳鳴りは一番ひどい状態を10とするならば現在は0.5~1ぐらいで、決して0にはなっていないのですが。

 

 ご本人があきらめてしまわれては、そこで止まってしまうことが多いのかもしれません。あきらめることなく、前を、上を、向くようにお考え続けていただけたら何かが変わるかもしれません。「すべてのケースにお役に立てる」とは決して断言できませんが、ずっとお付き合いさせていただく覚悟はしているつもりです。が、うまくいかなくて私がへこんでしまうことも多いです。しかし私もめげることなくあきらめずに、この方の場合では耳鳴りが0になるまで努力したいと思います。

 

 

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