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足裏の違和感(糖尿病性神経障害(?)、ぷにゅぷにゅした感じ、何か踏んでいる感じ)

[2024.01.29]

 「足の裏の感じが変だ」と訴えられる方がときどきいらっしゃいます。その状態についてよくよくお聴きすると、「歩くと何か踏んでいる感じがする」とか「足に何か張り付いている感じがする」と言われることが多いです。

 

 糖尿病の合併症で「糖尿病性神経障害」といわれるものがあります。症状として「砂利を踏んでいるような感じ」「足の裏に薄皮が1枚張り付いている感じ」「ジンジンしびれる」と表現されるようなものがあるとされています。

 

 ですから「足の裏が変な感じがする」と訴えられる患者さんに出会った場合、以前の私は「糖尿病ではないか」と考えて検査させていただいていました。なぜなら「足の裏の違和感」=「糖尿病性神経障害」しか知らなかったからです。しかし検査には異常がない方がほとんどであった記憶があります。もっとも糖尿病があったとしても、それを改善できる手段を持ちあわせていませんでした。(糖尿病性神経障害のための西洋薬が一時期使用されていた時期がありましたが、最近ではあまり効果を認めなかったためかほとんど使用されていません。)

 

 「変な感じがする」のは神経の異常と言っていいのでしょうか。身体の何らかの感覚異常があれば「いろいろな感覚に関係しているのは神経だから神経障害に違いない」という理屈だと思います。が、今の私は「それは間違っているのではないか」と思っています。

 

 以前私は足の小指の外側が「なんとなく痛い」、強く触ると「痛い」と思いながら半月ぐらい生活していたことがありました。歩くのには支障がなく、触っても何かできている感じがないのでそのまま放置していました。自分では直接見にくいところでもありましたのであまりよく見ていなかったのですが、あるときその部位をまじまじと見ますと、小さな黒い点があり、それをピンセットで引っ張ると2mmぐらいのワイヤーが取り出せました。(以前DIYをしたときに切ったワイヤーの切れ端でした) 当然ながらその途端痛みは消失しました。これは決して神経障害ではなく、単なる異物が入っていたために起こった痛み、違和感だったわけです。

 

 話を戻します。我々は裸足でフローリングなどの平らなところを歩いた際に、1㎜もないような砂粒を踏んだらなにか感じると思います。また、そのフローリングの一部がブヨブヨしていたら気が付くこと思います。その逆でフローリングの状態には異常がなくても自分の足の裏がほんの少しでも浮腫んでいるところがあり、その状態で歩いた場合何か踏んでいる感じがしてもおかしくないのではないのでしょうか。それは足の神経が障害されて変な感じがするのではなく、むしろ神経は正常で足裏のむくんだ状況を的確に判断できていると考える方が正しいと思います。

 

 何を言いたいかと申しますと、糖尿病性神経障害と言われている方、糖尿病ではないけれども足の裏の変な感覚がある方は、神経がやられているのではなく、単に足の裏がむくんでいるために変な感じがしているだけの可能性を考えます。そのむくみは極めてわずかで、見ても触ってもわからないぐらいの微妙なケースが多いと思います。そのわずかな違いを感知するだけの優れたセンサーを人間は持ち合わせているということなのです。そう言われれば、優れた職人さんがびっくりするような精巧な工芸品や工業製品を手触りだけで作られる様子をテレビで見たことがあります。人間の持つ能力の大きさに驚くばかりです。

 

 それでは足の裏の違和感を訴えられる患者に出会った場合にはどうさせていただくかと申しますと、足の裏の刺絡をさせていただきます。時には足の指先の井穴刺絡も併せてさせていただくこともあります。わずかな出血しかない場合もありますが、それでも違和感が無くなったといわれる方もあります。複数回刺絡しないと改善しない場合も当然あるのですが、最終的にはおおむね改善されるのではないかと思っています。

 

 結論として、足の裏の違和感は「神経が障害されているのではなく、足裏がわずかばかりでもむくんでいる」ために感じておられることが多いのではないか、そしてそれを解消するには刺絡という手段が優れているのではないかと考えます。

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