歩くときにフラフラする、まっすぐ歩きにくいとき、ちょっとした段差でつまづくとき
高齢者の方で、「この頃まっすぐに歩きにくい、フラフラする」とか、歩いていると左へ左へ行く(右へ右へという時もあります)というような訴えをお聞きすることがあります。
以前は「脳梗塞でも起こされて、足の筋力が落ちているのではないか」と考え、脳のMRIの撮影を受けていただいた方もいらっしゃいました。結果は、ほとんどの場合「大きな異常なし、筋力低下を説明できるような病変はなし」でした。
また、畳の縁につまずいて転倒したということをお聞きすることがあります。畳の縁の高さは、1㎝もなく数mmと思います。しかしつまづかれることもあるのです。それぐらい高齢になられると足が上がっていない場合も多いです。
漢方薬を使うようになってからは、まっすぐ歩きにくいなどの訴えに対しては、ある種の漢方をお飲みいただくと改善されることもありましたが、十分ではないケースもありました。
最近ではそのような方に対して、宮崎の山元敏勝先生が考案されたYNSA法を基に頭(頭皮)に鍼を打つと、足の筋力が速やかに回復された例を多数経験しています。鍼を打った直後より、まっすぐ歩けたり、ふらふらしなくなった方も多数おられます。大腿骨頚部骨折後の筋力低下にも効果があったことは、別の「疾患に対する院長の独り言」でお伝えした通りです。
骨折予防のために骨粗しょう症のお薬を飲まれたり、注射を受けられている方もいらっしゃいますが、筋力を保つ、筋力を上げることにより転倒しにくくすることが骨折を防ぐためには一番大事なことかもしれません。なぜなら、転倒する、尻もちをつくなどしなければ簡単に骨折することはないと思いますし、逆にたとえ骨粗鬆症がなくても転倒した時に骨折してしまう場合もあるからです。ですから筋力の低下を改善させることができ、転倒したりしないような状況を作り出せればいいのだと考えます。
このような鍼治療は瞬時に効果が出現し、一方ではほとんど副作用のない点もよいところだと実感しています。