当院に以前から通院されている５９歳男性のお話です。

 

　１か月前急に両耳から「空気がスーっと抜ける感じ」がするようになったそうです。そしてそれはお辞儀するように頭を下げ、その後頭を上げ元に戻したときにはその症状は一旦消失するのですが、唾液を飲み込むと元のように再び空気が抜けるようになってしまいます。また、自分の声が響くように感じたり、耳がこもった感じにもなっています。

 

　そのために耳鼻科を受診されたところ「耳管閉塞症」と診断され「これは治らない」と言われたそうです。幸いに聴力は正常だそうですが、「うっとうしい」ことと思います。

 

　お話をお聴きして、体を動かすことにより一時的に症状が改善するということより、向野先生のご考案された「Mテスト」という手法を試してみることにしました。

 

　そしてMテストでチェックした結果に基づいて、手足のツボの何か所かにシールを貼りましたところ症状が軽減されました。最も症状が完全になくなったわけではないですし、どれぐらい効果が続くのかは今後診ていく必要があります。

 

　私も以前同様の症状があった時期が２回ほどあったのですが、１か月ぐらいで幸いにも改善しました。そのときは東洋医学をまったく知らなかった頃で、どのようにして治ったかを記憶していません。その後、漢方薬を知るようになり軽い同じような症状が出たときには「苓桂朮甘湯」という漢方を飲めば、ほどなく改善した経験があります。この方はMテストで改善傾向がありましたので漢方薬は処方しませんでした。

 

　いずれにせよ「治らない」ということはなく、あきらめる必要はないと思います。もちろんこの方法で全員が快方に向かうことは難しいかもしれませんが、何らかの方法があると考え探さなくてはいけないです。

 

追記（2023.6.23）

　本日上記の患者さんが、前回来院から初めての受診でした。耳の状態は、前回受診後すぐに一旦は完全に回復したそうです。しかし３－４日後には少しまた以前のようにぶり返した感じがあったそうですが、それも３－４時間で改善し、その後は現在まで全く問題ないとのことでした。「治らない」ものではなかったようでよかったです。