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手足のほてり(陰虚)

[2025.08.28]

 新聞の健康相談欄に「手足のほてりがひどく眠れない」という記事が掲載されていました。具体的には「常に手のひらと足の裏がほてって苦しく、夜も暑くて眠れません。健康診断では異常はありませんが、何科を受診すべきですか」という78歳女性からのご相談でした。

 

 それに対して有名な医師が回答されており、その内容には間違いはないと思います。その中に「ほてりに効果がある漢方薬も何種類かあるので、自身の体にあうものを医師の指導の下で探してみるのも良いでしょう。」とも書かれていました。

 

 今回はこの漢方薬についてもうすこしお話しします。

 

 漢方医学の基本的な考え方の大事な一つに「陰陽論」というものがあります。生体の中には簡単にいいますと「陽」である「気」といわれる「温かいもの」と、それに対して「陰」である「血液やその他体の中にある液体」と考えられる「冷たいもの」が存在するとされています。その「陰陽」がバランスよく存在するのが健全な身体と考えられています。

 

 たとえば「男」は陽で「女」は陰、「太陽」は陽で「月」は「陰」、それ以外にも「天」は「陽」で「地」は「陰」、「昼」は「陽」で「夜」は「陰」という風に全宇宙に存在するものは「陰」と「陽」に分けられるという考え方です。そして「陰」と「陽」はお互い持ちつ持たれつつの関係です。

 

 ところが何らかの原因で「陽」は充分ある中で「陰」が少なくなった身体の状態を「陰虚(『陰』が虚している)」と呼びます。現代社会は昔に比べて夜間の活動が増えるなどで睡眠不足になりがちで「陰虚」になりやすいとされています。電気のなかった時代には、暗くなれば何もできないので「陰虚」にはなりにくかったのですが、文明の発達が「陰虚」の人を増やしていると思われます。

 

 「陰虚」のときには手のひら、足の裏が火照ります。なぜ手のひら、足の裏であり手の甲、足の甲でないのかは私にはわかりませんが、そのようにいわれています。手のひら、足の裏は「陰」で手の甲、足の甲は「陽」であり、「陰」の部分に症状がでていると考えれば少しわかるような感じがします。

 

 「陰虚」のときにみられるそのほかの症状として不眠、めまい、口の中が渇く、寝汗をかく、便が硬くなるなどがあります。「口の中が渇く」「寝汗をかく」ことに困っておられる方もあるかと思いますが、これらに対して西洋薬はほとんど無力のように思います。が、「陰虚」という状況だと判断し適切な漢方薬をお出しすることができれば、これらのもろもろの症状は無くなっていくこともあります。

 

 睡眠中に寝汗をかいたり、冬でも足が火照ってふとんから足を出したくなるようなことがある方は「陰虚」の可能性があります。スギ花粉症の方も「陰虚」になっているために症状が出現していることもあります。

 

 そのようなときに漢方薬がお役に立てるかもしれません。

 

 

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