メニュー

「疾患に対する院長の独り言」

「エビデンス」ってご存知ですか(2021.06.04更新)

 医学の世界、もう少し正確にいうと西洋医学の世界では「エビデンス」という言葉をよく使います。コロナが流行してからは耳にされた方も多くなったと思います。

ウィキペディアによると、

「エビデンス - Wikipedia

エビデンスとは、証拠・根拠、証言、形跡などを意味する英単語 "evidence" に由来する、外来の日本語。エビデンス - Wikipedia

 

 医学および保健医療の分野では、ある治療法がある病気怪我・症状に対して、効果があることを示す証拠検証結果・臨床結果を指す[1]。エビデンスは、医療行為において治療法を選択する際「確率的な情報」として、少しでも多くの患者にとって安全で効果のある治療方法を選ぶ際に指針として利用される。

 

つまり、「この患者はAという病気である確率がoo%。このAという病気をoo%でもつ患者にB治療法はXX%の確率で効果がある」として、他の治療法と比べて最も効果のある治療法を選択する際の基準選に利用される。言いかえれば、患者の治療に際して、効果の確率(効果量effect size)を知るための手段がエビデンスであり、この効果量がどの程度の確率で正しいかを知るための手段の客観的な基準がエビデンスである。高いエビデンスを求める方法として、ランダム化比較試験、コホート研究、症例対照研究が挙げられる。ただし、生物には個体によるゆらぎがあるため、これらの一般的な確率は個々の患者の状態によって適切に修正されなければならない。

この分野において、「エビデンスがある」と言えば、一般的には「科学的根拠」という意味であり[2]、「エビデンス・レベル」は、個々の修正が適切であれば、確率の「信頼度」と言い換えることができる。」

と書かれています。

 

 こんなのを読んでもなかなかどういうことか理解できません。私なりに簡単にご説明しますと、「いろいろな調査研究により、あるお薬が効果のあることの証拠が得られた場合、これをエビデンスがある」というわけです。

 

 エビデンスがあるというのは、「あるお薬を病気の方に投与した場合、『偽薬(見かけは本物のお薬と同じように見えるが薬の成分を含んでいないもの)を投与したときを上回る効果が出た』と統計学に基づき証明された」ということです。例えば、200人の同じ病気の人がおられ、その方たちを二つに分けて、100人の方に本物のお薬を飲んでもらったところ60人の人に効果が、残りの100人には偽薬を投与し40人の方に効果がみられたとします。不思議なことに、偽薬でも効果を示す方がどのお薬の試験でもそれなりの割合であります。本題に戻ります。本物のお薬で60人、偽薬で40人の方に効果があるとしたならば、本物のお薬の方が20人多くの方に効果があったわけで、それが統計学的に差があると証明されると、そのお薬は「お薬として効果があることが証明された、エビデンスがある」とされ、お薬として発売されることもあるということです。

 

  でももう少し違った見方をすれば、効果があるとされるお薬でも100%の方に効果が出ることはなく、効かない方が少なからずおられるわけで、一方偽薬すなわち本物のお薬でなくても効果を示す方もある訳です。エビデンスを重要視することは大事ですが、それが「すべてだ」としてしまった場合は問題があると考えます。

 

 「エビデンスがあるから効果があるはずだ」と考えられてお薬を投与されても、効果がない人もいらっしゃるわけで、そのときにはどうするのでしょう。困った患者さんを前にして、なんとかして差し上げようと思う気持ちはあるのに、エビデンスがないから何もできないというのも歯がゆく悲しくなってしまいます。

 

    そのようなときの私の基本的な考え方はこうです。「エビデンスがなくても効果があればよい、その治療方法は洋の東西を問わず」です。もっともその治療に危険性が伴う可能性が高い場合や高価である場合は、それはそれで考える必要があると思いますが。その方だけに効果があり、ほかの人に効果がなくても、その方がよくなっていただければそれはそれでよいのではないでしょうか。

 

 そのような考えで日頃診療していますと、思わぬ治療法を思いつくことがあります。そういう経験が積み重なると、それが新たに私にとってエビデンスになるわけです。私の大好きな言葉を最後にご紹介します。日本の内科学の父とでも言える、東京大学名誉教授の沖中重雄先生の言葉です。「書かれた医学は過去のものである。目の前の患者にこそ新しい医学がある」

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME