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エキス剤と煎じ薬(オーダーメイドスーツと既製のスーツ)

[2024.06.26]

 私がみなさまに処方させていただくのはほとんどが「エキス剤の漢方薬」です。「エキス剤」というのは、「ツムラ」や「クラシエ」などの製薬会社が作った、袋に入って番号がついているものです。(お飲みになられたことがある方はお判りいただけると思います。) 「エキス剤」というのは いろいろな草や木、少ないながら動物由来の原料、鉱物などから成分を搾り取って、それを顆粒にして作られたものです。そしてそれをお湯に溶かして飲んでいただくようになっています。

        

 

 それに対して「煎じ薬」というものは、昔はこれしかなかったのですが「エキス剤」と同様、様々な植物、時には動物、鉱物(いずれも自然の中にあるもの)を原料として、それらをお湯で煮詰めたものをお薬としているものを指します。そのときに使われる原料となるものはエキス剤と同様に植物、動物、鉱物ですが、本場中国ではたいへん多くの種類が用いられています。

 

 「エキス剤」と「煎じ薬」を下記のように置き換えてみました。

 「エキス剤」→「既製のスーツ」  「煎じ薬」→「オーダーメードスーツ」 

 

 私の場合はいくつかのエキス剤を組み合わせてお出しすることがほとんどです。それを例えるなら患者さんの状態を診て、何種類かの既製のスーツから胴体部分や右腕、左腕、襟などをそれぞれとってきて、それを組み合わせて一着のスーツに仕立てて着ていただいている感じです。ですから、ときには胸周りや右腕はピッタリでも首元が「これでは苦しい」だとか、「左腕の部分が短い」というような状況になってしまうことがあります。結果、お身体では「ここは良くなった」けれど、「ここは良くなっていない」という状況になります。これが現状です。ですからうまくいかないときには、お出ししているエキス剤の種類を変える(違う既製のスーツの部分を使うという感じ)、同じエキス剤でも量を変える(スーツの腕の部分の長さを変えるという感じ)ことにより改善を図らせていただいています。ときには初めにお出ししたお薬で「ばっちり」というときもありますが・・・

 

 一方煎じ薬では、体のたくさんの箇所を採寸して作るようなオーダーメードスーツのように、薬の種類や量をその方に合うように選んで処方されるます。ですからピッタリと合うお薬が出来上がるわけです。まさしくオーダーメード医療です。

 

 世間を見渡してみれば「煎じ薬」を使って診療されている医師もおられます。尊敬します。想像するにすごく努力され研鑽を積まれたことと思います。たくさんの「煎じ薬」の特徴、効果を理解し、患者さんの状態に合わせて処方するには膨大な知識や経験が必要です。残念ながら今の私にはその能力がありません。しかし、エキス剤を上手に組み合わせてお出しすることでも、少なくとも西洋薬では「どうしようもない」という思われる病態でも快方に向かっていただけることを多々経験できているという実感はあります。

 

 「煎じ薬を使えるような実力があればなあ」と思います。

 

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